整備員が教えてくれた
ブルー仕様のT‐4はココが違う!
ブルーインパルスの展示飛行で使用されているT‐4練習機は「戦技研究仕様機」と呼ばれアクロバット仕様に改修が施されている。演技に欠かせない、スモーク発生装置や、アクロバット飛行を行うための計器の追加、更には低空で展示飛行を行うため、バードストライク防止対策として風防のガラスや機体構造が強化されている。機体を知り尽くした整備員たちにブルーインパルスならではの特徴や、整備の際のこだわりを教えてもらった。
教えてくれたのはこの人
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整備員村上一夫 2曹
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整備員遠藤拓廣 3曹
- スピンドルオイル給油口
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機体の背部にあるスモーク発生用のスピンドルオイル(発煙油)の給油口。作業時は機体の上に乗り、慎重に作業を行う。
- コクピット
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基本的にノーマル仕様のT-4と同様だが、アクロ仕様の様々な装備も備わっている。例えば、操縦稈には人差し指の位置に、スモーク・オンのトリガーがあるほか、低高度警報システムの警告灯、スモーク動作灯、ラダーモード表示灯などがついている。
- 強化型風防
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操縦席正面のアクリル製の風防は、ノーマル機に比べて強化されている。バードストライク時の安全性を確保するため、ノーマル機の11mmに比べ、ブルー仕様機は22.4mmと厚い。あわせてアーチフレームの強度も高くなっている。整備員のコメントアクロ機は低空を飛ぶので、整備の際は何かぶつかった痕跡がないか細かく確認しています。また、パイロットが一番見る部分なので常に綺麗な状態を保つように心がけています。
- 防眩塗装
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反射した光がパイロットの目を射ることを防ぐ役割を果たす。 ※ノーマル仕様機も同様
- ピトー管
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正面と側面に穴が空いていて、各々が測定した圧力の差で大気速度を割り出す。 ※ノーマル仕様機も同様
- エアインテイク
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左右に1つずつあって、エンジンへ空気を送り込む役割を果たしている。 ※ノーマル仕様機も同様
- 垂直尾翼とラダー
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垂直尾翼にポジションナンバーを記す。ナンバーの下の板はILSアンテナ。ラダー(方向舵、写真の整備員の右手部分)は通常のT-4よりも作動角が大きく、通常が5~10度の範囲で作動するのに対し、アクロ機の場合はラダーの効きを良くするために10~15度の範囲で作動する。整備員のコメントアクロ機は低空を飛ぶので、整備の際は何かぶつかった痕跡がないか細かく確認しています。また、パイロットが一番見る部分なので常に綺麗な状態を保つように心がけています。
- 機尾
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先端のランプは尾灯。赤い筒は燃料の排出口(ベント)。白い筒はスモークオイルの排出口(ベント)。
- スモークオイルの吹き出しノズル
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エンジンからの排気の熱でスモークオイルが不完全燃焼すると白い煙になる。
- 航法灯
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左右主翼端にあり、右が緑で左が赤に輝く。光で航空機の向きを示している。 ※ノーマル仕様機も同様
- 強化型主翼前縁
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バードストライク等での破損を防ぐために、主翼前縁内部の構造が強化されている。前縁の内部には飛行制御に欠かせない補助翼の操縦ケーブルが入っている。
- 主脚
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着陸時の機体重量を支える。車輪止めは2色あり、訓練時は青色、展示時は白色を使用する。
- 着陸灯とタクシー灯
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外側2灯が着陸灯、内側1灯がタクシー灯 ※ノーマル仕様機も同様整備員のコメントよく目立つところなのでフライト前に常に綺麗に磨いています。飛行前の点検や着陸後のランプイン時に電球の切れがないかをチェックしています
整備員のアイテム紹介
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整備員が着用する耳の保護のためのイヤーマフ。整備員それぞれが好きなデザインを装飾している。
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T-4専用の工具。機体の点検整備する際に使用する。